2011年5月31日火曜日

 「WSの持つ意味って」

 今年の3月でマーブルタウンを「卒業」し、4月から兵庫県の病院で研修医をしているものです。
 マーブルタウン発足年から参加し、大阪市立大学医学部に通学していたので「地の利」を生かして、みなさまが企画してくださるWSの準備・進行・片付け等を通して微力ながらお手伝いさせていただいておりました。

 そこで患者さんの気持ちに触れる機会、自分の知らなかったさまざまな分野で才能を発揮していらっしゃる方と触れ合うチャンスを得ることが出来、視野が広がり、人間として大きく成長できました。

しかし一番の収穫は、WSの持つ力に触れられたことなのかなと想います。

 学生時代に実習を通じて患者さんと接する機会がないわけではないのですが、実際に働きだすとはるかに長い時間を患者さんと共にします。患者さんの状態を正確に把握するため、表情を含めた患者さんの訴えを聴こうと五感を澄ませます。

 そうすると「入院中の退屈な時間」という、誰しもが抱える時間が実は、病気を受容したり退院後の生活へのイメージを抱いたりするための時間でもあり単に退屈なだけでなく、ものすごく難しい時間であるということを強く感じます。

そんな時間をどう過ごしてもらうのか・・・。

そんなときにふと頭をよぎるのがマーブルタウンのWSです。
 決して型にはまらず、アイデア満載。時には患者さん参加型のようなものもあったり、とにかくエネルギーの塊。時にそれが生む奇跡のような出来事にもいくつか出会いました。
 そんなことを思い出しているうちに、WSの良さ、大切さというのはただ退屈な時間を埋めるという意味合いよりもむしろ、WSを通して患者さんとエネルギーや刺激をぶつけ合うことにあるのではないだろうかと想うようになりました。

 それが、明らかな変化は起こさないかもしれないけれど、目に見えないところで患者さんを良い方向へ向かわせてくれる、そんな気がしてならないのです。

 わたしは、医学部のオーケストラ部のメンバーの中でアンサンブルチームを組んで院内で出張演奏会をする「たまごオーケストラ」の一員として病棟で演奏会に参加したことがありましたが、今振り返ると技術は未熟であったけれど演奏会中の病棟のエネルギーは他のWSにも負けていなかったという自信はあり
ちょっとは意味のあるWSが出来たのではないかと、自己満足ながら想っています。

 勤務してまだ2か月ですが、「マーブルタウンのワークショップに参加してほしいなぁ」と心から想う患者さんに出会います。きっと、附属病院にもそういう人がたくさんいるはずです。

 ですからこれからも、スタッフの方にはいろいろなWSを企画・実現していってもらいたいです。今までのようにお手伝いできないのが残念ですが、blogを通して楽しませてもらおうと想っています。

 最後に、これまで私がマーブルタウンでかかわったすべての方に心からお礼申し上げたいと想います。本当にありがとうございました。


兵庫県立塚口病院 研修医   中橋 達

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